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第16回研究会「SDGsと100年経営」

2018年10月12日

2018年10月5日(金)六本木のハリウッド大学院大学にて、第16回研究会『SDGsと100年経営』を開催いたしました。 今回の講義では、日本電機株式会社(NEC)特別顧問・元取締役会長の矢野 薫さんを講師に迎え、持続可能な会社経営について「SDGs」という切り口から講義を行いました。


SDGsは中小・ベンチャー企業にとっても大きなビジネスチャンス
冒頭、矢野さんより「SDGs」の概要について説明がありました。
「SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」は2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193ヶ国が2016年~2030年の15年間で達成するための目標として掲げられました。17の大きな目標と169の項目で構成されています。
もともとSDGsの採択前、2000年の国連総会で2015年を目標にした「MDGs:Millennium Development Goals」というものがあり、その終了に伴い新たに2030年を目標にしたSDGsが採択されたとのことです。

現在、SDGsは2030年までに12兆ドルのビジネスチャンスを生み出すと言われており、日本国内においても経団連ではSDGsの実現に向けた企業行動指針を策定しています。また、中小・ベンチャー企業にとってもSDGsはチャンスの源であり、SDGs関連でのスタートアップや新規事業の開発も積極的に行われるようになっていると矢野さんは説明しました。


“持続可能な経営”に必要な経営者の資質と基盤とは
SDGsの説明のあとは、矢野さんより「持続可能な経営」を行う上での重要な行動について、
・変化に対応すること
・数字で考えること
・情熱を伝搬させること
という3つの項目でお話がありました。特に経営者は自身の事業に対する強い自信を持っているため、うまくいっていない場合にも「そんなはずはない」「直によくなるだろう」と思いがちです。そのため、“経営数字は自身を写す鏡”と理解し数字で経営を考えることが重要であると話しました。
また、会社を継続していく上では「基盤構築」が重要であり、長く続いている企業には企業理念(Mission、Vision、Values)が存在し、ガバナンスやコンプライアンスが徹底しているという共通点があります。特に社長は「永久に社長をやっていたい!」というのが本心であり、自ら「辞めます」という方は多くありません。そして周りの幹部も社長に対して「そろそろ辞めたほうが良い」とは言えないものです。そのためにもガバナンスが重要であり、経営者交代のルールを作っておくことでトラブルを防ぐことができると強調しました。

最後に矢野さんご自身の経験もふまえて、
・リーダーとしてより良い世界をつくるために高い志を持つ
・イノベーションを成長のエンジンにする
・スピードでグローバル競争に勝つ
ことが、これからの持続可能な経営において重要であるとまとめました。


これからの時代にあるべき経営について全体討議
講義の後は、会場全体を巻き込んでディスカッションを行いました。
1つ目のテーマは、「SDGsの取り組み」について。
・SDGsを経営戦略に取り込んでいるか?
・SDGsを自社の成長機会として捉えているか?
ということを、矢野さんは会場へ問いかけました。会場の皆様はSDGsへ明確に取り組んでいない方が多く、これからは是非検討してほしいとアドバイスしました。

2つ目のテーマは、「人材育成はどうあるべきか」について。例えばアメリカンドリームの主流は、20代でマネジャー、30代でVP(vice president)、40代でCEO、50歳で早期リタイアというもの。この実現に向けた熱意こそがビジネスのスピード感につながっていると思われています。しかしながら、日本人は生涯現役という思想が強く、それゆえに長寿企業が多いとも考えられます。その場合SDGs,長寿経営という視点から考えると“早期リタイア”という考え方はいかがなものなのか。アメリカンドリームと長寿経営は共存できるのか?という問いかけがありました。それに対して会場からは、
・自社の若手社員にも20代でマネジャーを目指している子がいる。それに対して私達が生きてきた時代の考え方(現在60代の方)を押し付けてしまっては、その若手社員は離れていってしまうので、考え直して20代でもマネジャーになれるような制度を作りました。
・50代で早期リタイアは良いと思います。いつまでもシニアが経営に口出ししてはいけない。次の時代にバドンタッチが大事。ただしリタイア後はただ遊び呆けるだけではなく、社会に意義のある新しい活動を行うべき。
などの意見が交わされました。

3つ目には「ベーシックインカム」は日本人の価値観に合うか、合わないか。についての問いかけで、なぜこれらを考えるかというとSDGsとは2030年に「こうなっていたら良い」という内容を目標に掲げているものであるため、ベーシックインカムなどありえないと一口に切り捨てるのではなく、これから先の社会には何が必要であるのかを冷静に考えることが経営においても重要であるとまとめました。

研究会終了後は講師を交えて懇親会を行い、懇親会には当機構の理事、会員、事務局、研究会参加者、約15名が参加し交流を深めました。

次回研究会は、12月7日(金)16:00~18:00、株式会社にんべん 現当主の髙津克幸社長を講師に迎え「創業319年のにんべんに学ぶ、永続経営とイノベーション」というテーマで講演をいただきます。

場所は同じくハリウッド大学院大学にて開催を予定しております。是非奮ってご参加ください。