活動報告

第21回研究会「~元三菱商事中国総代表が語る~新時代に入った中国企業経営」

2019年8月20日

2019年8月2日(金)、第21回研究会『~元三菱商事中国総代表が語る~新時代に入った中国企業経営』を開催しました。今回の講義では、三菱商事常務執行役員・中国総代表を務められた武田勝年さんを講師に迎え、1978年以降の近代経済史を紐解き、現代の中国人経営者の特徴や今後日本企業は中国とどのように向き合えばよいのかについて、20年以上にわたる現場経験をもとにお話を伺いました。


1978年以降、急速に経済成長を遂げる中国の実態
中国は1949年に中華人民共和国を成立し、戦後の独立を果たしました。武田さんは、中国を知る上では独立後の時代を3つに分けて考えると理解しやすいと、1949年~1978年を「建国期」。1978年~2013年を「富国期」。2013年~2049年を「強国期」と説明しました。

周知の通り、中国は社会主義国です。そのため1949年から毛沢東が死去する1978年までは計画経済のもと国を立て直しました。中国の本格的な改革が始まるのは1978年です。「近代化建設」「改革・開放」が決議されたことを機に、経済特区設立、「中国の特色を持つ社会主義」の提唱、上海証券取引所・深圳(シンセン)証券取引所の開所などが起こります。その間に世界企業となる「LENOVO(レノボ)」や「HUAWEI(ファーウェイ)」が創業。

1992年からは市場経済化が進み、社会主義国家の終焉を危惧する党派を牽制するために「社会主義市場経済の確立」を提唱。更に1998年、朱鎔基(しゅようき)総理の時代にこれまですべて政府の言いなりだった、行政・金融・国有企業の三大改革を実施し、公平な競争ができる市場を作り上げました。2001年WTO加盟を機に中国の目は世界へと向き始めます。2008年には北京オリンピック、2011年には上海万博を実施し、その頃GDPが日本を抜いて世界第2位となります。

そして、2013年から強国期へと突入。習近平が国家主席へ就任すると同時に、世界トップクラスを目指した経済政策がスタートしました。正に現在進行系で中国経済は成長している真っ只中と言えるでしょう。


「経営とは?」を求めて訪日視察する中国経営者が増大! 中国の近代経済史を伺った後は、中国企業経営者の特徴と現在何を求めて日本に来ているのかについてお話がありました。まず前提として、中国は国土が広い上に地域によって暮らし方や民族も異なるため、「中国人」と一言でまとめて説明することはできないことを伝えました。その上で武田さんは、日本の経営者と中国の経営者の差異について、主に判断基準や法意識、計画性、スピード感、事業内容などの項目で説明しました。

更に、現在中国経営者の訪日視察が盛んな理由と視察の目的については、「経営理念の模索」「経営手法の習得」「長寿企業の秘訣」「企業買収・技術導入」などを挙げ、中国経営者は現在学ぶ意欲が非常に高いことを強調しました。特に2013年以降は、ただ儲かるだけのビジネスではなく「経営とはどうあるべきか?」について考え始める経営者が多く、日本からそのヒントを得ようという気運が高まっています。この現状を、私達日本企業がいかに好機と捉えるかが重要です。


研究会終了後は講師を交えて懇親会を行いました。参加者としてお越しいただいた中国経営者、中国企業とビジネスを展開している日本経営者、親族に中国人がいらっしゃる方など、多彩なメンバーで交流を深めました。
特に中国経営者からは、日本の企業から何を学びたいと思っているか、どのようなビジネスを展開していきたいかなどを伺い、ところどころ中国語で議論が白熱し、今後に発展していくグローバルで有意義な場となりました。

次回は、2019年10月にアライアンス・フォーラム財団 評議委員会の神永 晋さんを講師に迎え「公益資本主義と100年経営」というテーマで研究会を開催いたします。是非奮ってご参加ください。