【第28回100年経営研究会】建設を軸にふるさとづくり。代々受け継がれる経営精神でさらなる長寿企業へ(登壇者:1901年創業/平山建設株式会社)
2021年9月17日
2021年9月14日(火)、第28回100年経営研究会を開催いたしました。
ファミリー・ビジネス・ネットワーク・ジャパン(FBNJ)との共催企画となった今回の研究会では、1901年に木材や薪炭を扱う平山商店として創業し、現在は建設業を営まれている平山建設株式会社 代表取締役の平山秀樹氏をお迎えし、平山建設の「長寿の要因」についてお話しいただきました。
また、100年経営研究機構からは当機構代表理事で日本経済大学大学院特任教授の後藤俊夫先生がトークセッションの相手として登壇し、長寿企業の秘訣について学びました。
登壇者の紹介
今回の登壇者である平山社長の経歴からご紹介いたします。
<登壇者プロフィール>
平山建設株式会社
代表取締役社長
平山秀樹(4代目)
昭和41年(1966)、平山金吾、裕子の長男として成田に生まれる。平成元年(1989)、筑波大学人間学類卒業(心理学主専攻)し、同年4月 東急不動産株式会社入社。 平成5年7月(1993)、退社し、同年同月にアメリカン大学(合衆国ワシントン特別市)へ入学。
平成7年(1995)、同校卒業、経営管理学修士号取得。同年7月、平山建設株式会社入社。
平成15年8月(2005)、平山建設株式会社代表取締役社長就任、現在に至る。
平成21年、成田ロータリークラブに入会、現在に至る。
第1部:トークセッション(平山建設株式会社 代表取締役 平山秀樹 氏 × 後藤俊夫 代表理事)
今回のトークセッションでは、平山建設株式会社の「長寿の要因」について平山社長よりお話しいただき、対談を通じて学びました。
ポイント
1. ふるさとづくり、街づくり、建物づくり
2. 120年続く長寿の要因。平山建設の歴史と隔世教育
3. 創業120年を機に、書籍『会社が永続する31の言葉』を出版
1. ふるさとづくり、街づくり、建物づくり
現在、平山建設は70名ほどの社員を抱える会社で、建設業以外にホテルの運営なども行い、千葉県成田市を軸に活動されています。
このように現在は多くの社員を抱え、地域づくりにも大きく貢献されている平山建設ですが、平山社長が29歳で会社に戻ってきた当時は、バブルが崩壊し地域の建設会社や証券会社が次々に倒産していくという苦境にありました。
こうした苦境の中、仕事があれば茨城県や東京都内にまで足を運んでいたものの、会社はなかなかうまく回らず、平山社長はこのときの状況について「自分も会社も全く地元を向いていなかった」と言います。
そんな中、毎年成田で行われている「祇園祭」に参加する機会があり、そこで自身が生まれ育った成田の街や、地域の人々と触れ合ったこと、そして祇園祭で使用されていた山車が火災に遭った際に山車の再建を行ったことなどを通して、もともと成田市外で建築請負を行っていたところから成田市の街づくりに軸足を移すようになりました。
成田市に軸足を置くようになった結果、地域の人々のご縁から成田市のセットバック事業や再生事業を請け負うようになり、会社の売上も伸びるようになりました。このように、自社の売上だけでなく、地域に根ざして地域の人々からのご縁を活かしながら経営をしてきたことが平山建設の長寿の要因となったと言えます。
2. 120年続く長寿の要因。平山建設の歴史と隔世教育
平山建設が120年続く長寿企業である要因には、隔世教育によって家業の歴史や考え方などが受け継がれている点も関係しています。
創業者である金吉氏は非常に勉強熱心でありました。
生まれ育った千葉県芝山町から成田市に出てきた際には、成田市にある長寿企業「米屋」の創業者・諸岡長蔵氏から教えを受けるなど、苦労しながらも勉強を重ねて平山商店を成長させていました。
また、成田市に出てきた際は鉄道に興味を持ち、当時から「交通はこれから変わる」と話しており、のちに成田市に空港ができたことから先見の明があったとも感じられます。
そして平山家では、金吉氏の勉強を重ねてたどり着いた考え方や先見性が、隔世教育によって受け継がれています。
3代目の金吾氏も金吉氏から教育を受けることが多く、平山社長自身も祖父母である清氏・いち氏から戦争や大恐慌、伝染病などの話を聞くことが多かったと言います。
そのため、実際に経営においても祖父母の教育による影響は大きく、また金吉氏が作った平山家の五箇条は今も深く継承されています。
このように親子はもちろん祖父母から孫に対して、家業の歴史や家訓などが代々伝えられていることが、平山建設の長寿の要因であると言えます。
3. 創業120年を機に、書籍『会社が永続する31の言葉』を出版
平山社長は2020年、平山建設が創業120周年を迎えたのを機に、『会社が永続する31の言葉』という書籍を日経BP社から出版されています。
平山社長の父である金吾氏が生前に「本を出版したい」と話しており、創業120周年を機に平山社長が金吾氏の夢を叶えるために出版されました。
この書籍には、
・早起きの経営者に敗北者なし
・寝る前の反省
・EQ(感性指数)を高める
・良きフォロワーこそ、良きリーダーの資格
・身銭を切る訓練
・陰徳を積む
・天地自然の法則は厳しいものである
・惜福、分福、植福
など、金吾氏が創業者で曽祖父でもある金吉氏から伝えられた言葉や、金吾氏自身が商売の中で学んだこと、ロータリークラブで学んだ言葉などが綴られています。
こうした考え方や精神が代々受け継がれているからこそ、平山建設は創業以降、戦争やスペインかぜなどの伝染病の危機に遭ってもそれを乗り越え、長寿企業へと繋がっていると考えられます。
第2部:質疑応答・総括(総括・学びのポイントを整理)
最後に大髙会長より、「経営にあたっての精神が幅広く本に綴られており、かつそれを実践されているのがすごいと感じた。単に建設というだけでなく建設の中のあり方、つまり生活産業としての建設を目指されると良いのではと感じながらお話を伺っていた。大変興味のあるお話をありがとうございました。」と総括いただき、今回の研究会は終了いたしました。
次回は9月28 日に、1850年創業の有限会社日本橋弁松総本店、代表取締役の樋口純一氏にご登壇いただきます。