第9回研究会「トヨタの100年経営と世界」 2017年4月30日 2017年4月2日(金)東京都渋谷区にて、 第9回研究会「トヨタの100年経営と世界」を実施いたしました。 今回は、株式会社パソナ副会長であり、当機構の副代表理事を務める大髙英昭より講演を行いました。 講義は、大髙副代表理事の経歴紹介から始まり、 大髙副代表理事が実際にトヨタで体験した出来事をもとに、トヨタが永く世界で闘ってきた歴史とその背景 についての説明へと進みました。 大髙副代表理事が入社した1950年代は、日銀が販売金融と設備金融を分ける政策を発表した時期であり、 トヨタもその政策に則り“豊田自動車販売”と“豊田自動車工業”に分けられていた時代で、 その頃から世界に通用する車を作るという機運が高まっていたそうです。 入社から現在までの約50年間トヨタを見てきた大髙副代表理事は、トヨタが創業100年目前の企業に成長した理由として、「改善を重ねること」「外部の意見を聞くこと」「それぞれの会社や地域の伝統を持ち、改良し続けてきたこと」を挙げました。 例えば、部品に問題が出た際には専門のメーカーに赴いて意見を聞き、改善に繋げました。 また、トヨタとしてのひとつの確固たる哲学は共有しているものの、それぞれの地域工場で働く人々が地元にあった形を考え改善し、独自の哲学や文化も持っています。 これらは“一体感を作るための努力を惜しまない経営”である、と考察がありました。 第2次オイルショックが起こった後の1980年代に、大髙副代表理事はトヨタの初代ロビイストとして渡米しています。 当時、日本は早急に貿易赤字の対策を取る必要があった時代でもありました。大高副代表理事は、このような環境の 変化がトヨタの現地生産開始の大きなきっかけとなったと言います。 「トヨタはあなたの国のための生産を行う」というストーリーを作り広めることで、アメリカ以外の国でも現地生産を 行うにあたっての政治的経済的な障壁を乗り越えていったそうです。 またトヨタ車のクオリティを担保するための方策として、現地の優秀なミドル層の採用に力を入れたこと、トヨタ流のモノの考え方を理解してもらう努力を惜しまなかったことなど、いくつかのエピソードが披露されました。 最後に、「現在のトヨタの幹部がどれだけ危機感を持てるか、またトヨタグループに所属する世界中の人々が “自分がトヨタを担っている”という気概を持っているかどうかが100周年を目指す上での鍵になるでしょう。」 と講義を締めくくりました。 続く質疑応答では、「トヨタイズム」とも呼ばれる生産方式やシステム、受け継がれる意志についての質問が挙がり、 トヨタが長く続いてきた理由についてさらに理解を深めた時間となりました。 研究会終了後の懇親会には当機構の理事・監事、研究会参加者の総勢15名が参加し、交流を深めていました。 懇親会では、参加者同士で研究会の理解を深めることはもちろん、その他様々な出会いや学びを得ることができます。研究会同様、今後の経営やマネジメントを学ぶ場として是非ご活用ください。 =============================== 【第10回研究会のお知らせ】 次回は9月19日(火)に都内近郊にて開催予定です。 詳細は別途ご案内いたします。 =============================== ツイート