活動報告
第14回研究会「創業213年船橋屋が実践する“伝統と革新”とは」
2018年6月13日
第14回研究会の様子
2018年6月1日(金)六本木のハリウッド大学院大学にて、
第14回研究会『創業213年船橋屋が実践する“伝統と革新”とは』を開催いたしました。
今回の講義では、元祖くず餅「船橋屋」8代目当主の渡辺雅司さんを講師に迎え、老舗企業である船橋屋が実践する“伝統と革新”をテーマに講義を行いました。
入社当時の船橋屋について語る渡辺社長
船橋屋は創業1805年(文化2年)、今年で創業213年を迎える老舗企業です。「元祖くず餅」の名の通りメイン事業はくず餅・あんみつ等の製造販売ですが、最近では製造のみならず和スウィーツを中心とする創作カフェの運営や、くず餅乳酸菌の整腸効果を活かした健康サプリの開発も手がけています。
渡辺社長は、大学卒業後三和銀行(現・三菱UFJ銀行)へ入社。銀行マンとして多くの企業融資に携わり、バブル経済崩壊後の1993年に船橋屋へ次期後継者として入社しました。船橋屋は、今でこそ新卒採用エントリー数が1万以上もある超人気企業ですが、渡辺社長の入社当時は、パンチ・アフロ・茶髪社員だらけの規律やルールが一切ない組織だったそうです。16時から酒盛りをするのは当たり前、従業員同士の喧嘩は日常茶飯事、挙げ句お客様にも喧嘩を売ってしまう惨状だったといいます。
そこで、渡辺社長は船橋屋の経営改革に乗り出しますが、山あり谷あり、様々な経験のもとに「良い人財を育てるための方法」を見出します。
渡辺社長が考える、社長の仕事とは
①目的地の絵葉書を描く(真のビジョンをつくる)
②場の力をつくる(最強の組織づくり)
上記の2つに集約されます。
①目的地の絵葉書を描く、とは全従業員に“なぜ船橋屋は存在するのか”すなわち“自分は船橋屋を通して社会に何を与えているのか”という答えを明確に持ってもらうことだ、と渡辺社長は強調しました。そのため社内では、自社の経営理念・ビジョン・戦略を全社員へ共有することが徹底されており、パートさんにも分かるようにとイラストを活用した中期経営計画を作成するなどの工夫がされています。
②場の力をつくる、とは従業員一人ひとりが役割を担う「オーケストラ型」の組織を作ることで、全従業員が力を発揮できる場をつくるということです。また、船橋屋では従業員のモチベーションを活性化させるために、行動にフォーカスした人事考課や職人のマイスター制度を細かく定めています。更に社内アンケートを年2回実施しており、社内風土について客観的に調査、改善する環境を整えているそうです。
質問に答える渡辺社長
船橋屋の様々な改革事例を紹介していただきましたが、渡辺社長は最後に、時代は仮面ライダーからワンピースに変化している。そのため、社長も孤独に戦う時代から社員と夢を分かち合う時代に変わった、と話され、皆で同じ方向を向いて進んでいく強い組織が今の時代には求められている、とまとめました。
講演後は複数の方から質問をいただき、事業承継のポイントやご自身の転換期についてお話されました。
研究会終了後には船橋屋の執行役員と新入社員を交えて懇親会を行い、懇親会には当機構の理事・監事、会員、研究会参加者、約15名が参加し、交流を深めました。
懇親会の様子
次回研究会は、8月3日(金)16:00~18:00、同じくハリウッド大学院大学にて開催を予定しております。
テーマは確定次第お知らせいたしますので、楽しみにお待ちくださいませ。