活動報告

【第4回オンライン研究会】イノベーションと想いで、300年企業に向けてさらに強い組織へ。(登壇者:1805年創業/株式会社船橋屋)

2020年9月29日

2020年9月23日(水)、第4回オンライン研究会を開催いたしました。
今回の研究会では、1805年に創業し、東京都江東区に本店を構え、くず餅等の製造販売や和スイーツの創作カフェの運営を行う株式会社船橋屋の執行役員兼企画本部企画本部長の佐藤恭子氏をお迎えし、200年以上にもなる船橋屋の歴史やSNSを活用した情報発信の仕組み、コロナショックへの対応についてお話しいただきました。
また、100年経営研究機構からは当機構代表理事で日本経済大学大学院特任教授の後藤俊夫先生がトークセッションの相手として登壇し、長寿企業の秘訣について学びました。


登壇者の紹介】

今回の登壇者である佐藤執行役員の経歴からご紹介いたします。

<登壇者プロフィール>
株式会社船橋屋  
執行役員/企画本部企画本部長
佐藤恭子
販売部配属後、2005年に創業200年記念店舗和カフェ「こよみ」の立ち上げを経験。その後、本部配属となり、通販事業の立ち上げ、新卒採用の立ち上げを経験。更にSNSを活用した口コミ戦略の担当、社内組織活性化プロジェクトリーダーとして、組織活性のための企画・運営・管理を担当。現在は執行役員兼企画本部本部長として、船橋屋全体の管理・運営に従事。また子会社数社に配属し、イノベーション事業である「くず餅乳酸菌®」事業にも携わっている。


第1部:トークセッション(株式会社船橋屋 執行役員 佐藤恭子 氏 × 後藤俊夫 代表理事)

今回のトークセッションでは、株式会社船橋屋の歴史を振り返りながら、「長寿経営の秘訣」、「イノベーション」、「これからの展望」、「コロナ禍での取り組み」などについて佐藤執行役員よりお話しいただき、対談を通じて学びました。

ポイント
1.”血より暖簾は重い”恵まれた人脈と船橋屋への想いが長寿の秘訣
2. ”売るより作れ”という船橋屋の軸が生み出す会社への想い
3.船橋屋の経営に携わる思いとイノベーションについて
4.コロナ禍の取り組みについて

1.”血より暖簾は重い”恵まれた人脈と船橋屋への想いが長寿の秘訣

船橋屋が創業から200年以上もの長寿経営を実現できているのには、恵まれた人脈と血の繋がり以上の想いがあったからだとされています。
これまで船橋屋を受け継いでこられた先代の方々を振り返ると、
・郡名誉職25年勤続の功より郡役職から銀灰感謝状をいただいている(3代目)
・南葛飾郡名誉職(4代目)
・お嫁さんが葛飾郡の水元村の議員さんの娘(5代目)
・千葉県で5本の指に入る名家からの養子(6代目)
といったように、素晴らしい方々が船橋屋を継いでおられます。
また、4、6、7代目は養子であり、実子ではない方も船橋屋を継がれていることから血の繋がり以上の強さを感じられます。
このような先代の方々の傾向には、船橋屋の事業承継の言葉とされる「血より暖簾は重い」という考えが関係しています。
「血より暖簾は重い」とは実子であっても継がせられないと思ったら継がせず、養子を入れて暖簾を繋ぐ方に重きを置くことです。
その結果、船橋屋の歴史の中で一番被害の大きかったと思われる東京大空襲の際にも、
5代目の妻、6代目、6代目後妻という血の繋がりのない方々で船橋屋を守り抜いています。
血の繋がりがなくてもそれ以上に船橋屋のことを想い、暖簾を守るために一丸となることが長寿経営にとって大切であるということが考えられます。

2. ”売るより作れ”という船橋屋の軸が生み出す船橋屋への想い

ただし、船橋屋への想いは船橋屋の軸があってこそ生まれるものとされています。
船橋屋の軸とは、”売るより作れ”という初代の教えであり、現在の社訓ともなっています。
つまり、「売ることばかり考えず、良いものを作り続ければおのずとお客様はご支持くださる」ということを意味しています。
この船橋屋の軸から生まれる想いと恵まれた人脈のおかげで、東京大空襲によって船橋屋の店舗は全焼してしまいましたが、1年後には新しい建物が完成し商売を始めています。
また、当時の亀戸の復興の様子について、洋画家である木村荘八氏の『東京繁昌記』や随筆家の奥野信太郎氏が書いた『随筆東京』で船橋屋の復活が特筆されるほど、かなり船橋屋の復興は早く、良いくず餅を作り続ける意識が会社の軸として代々受け継がれていたと考えられます。

3.船橋屋の経営に携わる思いとイノベーションについて

船橋屋の長寿経営の秘訣として、イノベーションという点も挙げられていました。
東京大空襲の後、6代目のときには復興がイノベーションとなり、その後も百貨店展開、駅ナカ、商業施設の展開など事業を拡大し、より多くのお客様にくず餅を知ってもらうために様々なイノベーションを起こしてきました。
そして、船橋屋の今後について、「社長だけではなく、社員がどのようなイノベーションを起こして、9代目につないでいくかを考えることが重要」だと佐藤執行役員は言います。
時代にあった組織づくりとイノベーション、そして違う角度から船橋屋の価値を高めるための歴史研究によって、船橋屋が300年企業になっていくための土台作りが進められています。
具体的な取り組みとして、当機構の勉強会へ参加することで長寿企業の研究をし、そこで得た情報をアウトプットすること。
また、会社での取り組みとしては、入社後の社員がワクワク感を持って働けるように「まずは任せる」という点を大切にしながら人材育成が行われており、実際、若手社員によってSNSなどによる情報発信の仕組みが生まれています。
これまでのような「頑張る」「根性」「努力」などによって成果を出していく組織ではなく、「幸せ」や「ワクワク感」を感じながら成果を出していくという、時代にあった組織づくりを実践されています。

4.コロナ禍の取り組みについて

コロナ禍での取り組みについてもお話しいただき、今回のコロナショックによって船橋屋にも以下のような影響が出ておられます。
・年で1番の繁忙期である「藤まつり」が中止
・25店舗中、約半分が休業
・全喫茶室休業
・売上は前年比の40%以下
一方で、このような影響下でも、広報においてはSNSキャンペーンなどを発信することによって、フォロワー数も5,500人から25,000人に増加し、通販への流入も強化しておられます。
さらには「通販のかき氷」「飲むくず餅乳酸菌」「化粧水」「新規事業店舗」などのように、くず餅をより多くの人に知ってもらうことを目的に商品開発や新規事業開発というアフターコロナに向けたイノベーションの種蒔きも行われていました。

第2部:質疑応答・総括

会員発表では、原アカデミー株式会社代表で名誉心理学博士(U.S.A.)の原久子氏より、「企業研修として、瞑想や呼吸法を社内に取り入れることで、疲れが溜まりにくい体をつくったり、集中力を長時間維持することができ、企業にとって有効的に活用することができる。また今回のコロナショックのような状況によってうろたえてしまう人や企業があり、このような場合でこそ呼吸法を意識することによって自分自身を見つめ直し、結果的に会社の売上や利益の向上に繋がる。」と企業における瞑想や呼吸法の重要性についてお話しいただきました。
最後に後藤先生より、「100年企業の軸には時間・場所・産業・家・文化の5つがあり、特に文化とのつながりが100年企業の中で色んな形で花開いているということを今回は見事にお話いただいた」と総括いただき、今回の研究会は終了いたしました。


次回は9月30日に、1428年創業の合資会社一條旅館、代表社員の一條一平氏にご登壇いただきます。