活動報告

【第9回オンライン研究会】”自立教育”と”経験の連鎖”が新たな課題を打開し、長寿経営を実現する(登壇者:1880年創業/株式会社ちんや)

2020年12月8日

2020年11月25日(水)、第9回オンライン研究会を開催いたしました。
今回の研究会では、1880年創業で東京都浅草にてすき焼き屋を営む株式会社ちんやの代表取締役社長の住吉史彦氏(6代目)をお迎えし、先代世代とのかかわりやこれまでの取り組み、今後の展望などについてお話しいただきました。
また、100年経営研究機構からは当機構顧問で静岡県立大学教授の落合康裕先生がトークセッションの相手として登壇し、長寿企業の秘訣について学びました。

登壇者の紹介

今回の登壇者である住吉社長の経歴からご紹介いたします。

<登壇者プロフィール>
株式会社ちんや
代表取締役社長
住吉史彦(6代目)
1965年生まれ、1988年慶應義塾大学卒業後に会社員として別企業で勤務。1995年株式会社ちんやに入社、2001年に6代目を継承。
社長就任直後、BSE問題が発生して対処に追われる。2008年「すきや連」(=日本初のすき焼き屋の団体)を結成、「旗振り役」兼事務局長に就任。
2017年1月「適サシ肉宣言」で食肉業界を騒然とさせる。
現在の役職:国際観光日本レストラン協会理事・関東支部副支部長、慶應義塾「料飲三田会」会長、家畜改良技術研究所「牛肉のおいしさ総合評価指標開発事業」推進委員、東都のれん会・東若会幹事長など。

第1部:トークセッション(株式会社ちんや 代表取締役 住吉史彦 氏 × 落合康裕 顧問)

今回のトークセッションでは、株式会社ちんやの歴史を振り返りながら、「先代世代との関わり」、「事業承継への挑戦」、「今後の展望と次世代へのバトンタッチ」などについて住吉社長よりお話しいただき、対談を通じて学びました。

ポイント
1.地域ぐるみの” 斜めのつながり”はファミリービジネスの悩みを解決する
2.“良質に触れ自立を養う教育”が独自性ある取り組みを生み出し、新たな課題を打開
3.次世代へ向けたイノベーションの種まき

1.地域ぐるみの” 斜めのつながり”はファミリービジネスの悩みを解決する

ファミリービジネスは親と子でありながら上司と部下という、2重の関係であるのでやりにくさを感じる企業様もよくいらっしゃいます。
住吉社長はこのような親子経営のやりにくさを、地域のコミュニティで解消していたと仰っていました。
浅草には親世代と子世代それぞれの集まりがあり、親以外との意見交換はそういった地域のつながりで行なっています。
また斜めのつながりもあるため、そういったコミュニティの中で親の考え方などを理解でき、親子経営のやりにくさを解消することができます。
地域のつながりを活用して、親以外の関係を持つことがファミリービジネスを円滑に進めていくための方法の1つと言えるでしょう。

2.“良質に触れ自立を養う教育”が独自性ある取り組みを生み出し、新たな課題を打開

住吉社長の父でもあり先代でもある住吉滋夫さんは、住吉社長が幼少期のとき、ちんや以外の飲食店によく食べに連れていってくれたそうです。
その結果、住吉社長は自発的に味覚や働いている人、お店の雰囲気、調度品などの目利きの力を身につけていきました。
「こうしなさい」ということがなく、父である住吉滋夫さんの自立を促す教育が住吉社長の以下のような独自性ある取り組みを生み出しています。
・すき焼き検定
・すき焼き川柳
・適サシ肉宣言
・zoomすき焼き会
・医療従事者への特別割引など
先代からの経験と住吉社長の独自性のある取り組みが、2001年のBSE問題や今回のコロナのような災害への対策につながり、長寿経営を実現されております。

3.次世代へ向けたイノベーションの種まき

最後に、住吉社長が株式会社ちんやを今後どのように継いでいきたいかについてお伺いしました。
住吉社長自身が祖父や父から「こうしなさい」と言われたことがなく、住吉社長も次世代に対して「こうしなさい」というのは無いが、
・インターネットを活用してわかりやすく広報すること
・株式会社ちんやの働き方をうまく伝えていくこと
などのように、自分ができなかったことをどんどんしていってほしいとお話しいただき、次世代に向けて新たな取り組みやイノベーションに対する期待を持たれていました。
今回のコロナ禍のように苦労の中で生み出した「zoomすき焼き会」や「医療従事者への特別割引」などの新たな取り組みが、次世代に向けたイノベーションの種まきにもつながっていると考えられます。

第2部:質疑応答・総括(総括・学びのポイントを整理)

最後に落合先生より、株式会社ちんやの長寿経営の秘訣について「先代から積み上げてきた経験によって新たな課題へ対策し、先代の自立を促した子育てが住吉社長のオリジナリティあふれる数々の取り組みを生み出したのではないか」と総括いただき、今回の研究会は終了いたしました。


次回は12月9日に、1728年創業の<株式会社茶加藤、代表取締役社長の加藤宗兵衛氏にご登壇いただきます。