活動報告

【第43回100年経営研究会】創業者後藤午之助から受け継いだ3つの経営理念(登壇者:1892年創業/株式会社ゴトウ花店)

2022年4月30日

2022年4月26日(火)、第43回100年経営研究会を開催いたしました。

 

今回の研究会では、1918年に創業された株式会社ゴトウ花店の代表取締役である後藤尚右氏をお迎えし、「会社の成り立ちと継承」や「130年間引き継がれている経営理念」などについてお話しいただきました。

 

また、100年経営研究機構からは当機構代表理事で日本経済大学大学院特任教授の後藤俊夫先生がトークセッションの相手として登壇し、長寿企業の秘訣について学びました。

 

登壇者の紹介

今回の登壇者である後藤尚右氏の経歴からご紹介いたします。

 

<登壇者プロフィール>

株式会社ゴトウ花店
代表取締役社長
後藤尚右(ごとうなおすけ)

 

1962年東京都生まれ。

慶應義塾大学卒業後、アメリカ、フランス、ドイツ、オランダ、イタリアの大都市の花店を巡り、3年間修業を積む。

帰国後、海外で学んだ技術や知識を生かして、曽祖父・後藤午之助が創業したゴトウ花店の発展に取り組む。

2001年に3代目の父・一郎さんの跡を継ぎ、同社代表取締役社長に就任。

現在は都内に5店舗ある花店の経営とともに、フローリストの育成やレッスンの講師、講演活動なども行う。

 

第1部:トークセッション(株式会社ゴトウ花店 代表取締役社長 後藤尚右 氏 × 後藤俊夫 代表理事)

今回のトークセッションでは、「株式会社ゴトウ花店の成り立ちと継承」や、「130年間変えずに引き継いだ経営理念」などについて後藤尚右氏よりお話しいただき、対談を通じて学びました。

 

ポイント

  1. 時代のニーズに対応した創業者・後藤午之助
  2. 終戦後から引き継がれる想い
  3. 130年間引き継がれた3つの経営理念

 

1. 時代のニーズに対応した創業者・後藤午之助

長州(現・山口県)出身の後藤午之助氏は、1882年(明治15年)頃に東京・港区付近へ上京しました。

当時は、役人が人手を増やす際に、故郷の若者を呼ぶことが頻繁にあったことから、午之助氏も同様に、毛利藩の役人に呼ばれ上京したとされています。

上京後は毛利藩の仕事を行なっていましたが、東京の多種多様な面白さに魅了された結果、毛利藩の仕事を数年で退職し、「便利屋」として働き始めます。

便利屋として働く中で、ゴトウ花店創業のきっかけとなる「お花の需要」を見つけ出します。

 

お花の需要を見つけた背景には、当時の港区に欧米人が多かったこと、また、欧米人が便利屋・午之助氏に洋花の手配をよく依頼していたことがあります。

当時は、来日後は長期滞在(半年〜1年程度)をすることが当たり前であったため、故郷を懐かしく思う欧米人が、洋花の手配を頼んでいたようです。

 

この需要に対応するため、午之助氏は現在の株式会社ゴトウ花店を創業しました。

以降130年間、ゴトウ花店は、場所を変えずに洋花の販売を続けておられます。

2. 終戦後から引き継がれる想い

ゴトウ花店で大切にしておられる「花が人の気持ちを癒す。」という想いは、第二次世界大戦時に生まれました。

この想いが生まれた背景には、後藤尚右氏のお婆様(2代目)が切り盛りをしていた当時、東京が大空襲の影響で焼け野原と化してしまったことが挙げられます。

 

当時、「戦時下では、喉を潤し、空腹を満たすことができない花に需要は無い」とお考えになられたお婆様は、花屋を辞めて団子屋に鞍替えをしようと考えられていたそうです。

しかし、この考えをあるお客さまに話したところ、「先の見えない今だからこそ、心を癒す花を売ることが大切。花を売れるのはゴトウ花店だけだ。」と叱責されます。

この言葉に気持ちを動かされたお婆様は、困難な戦時下・終戦後にも、ゴトウ花店を継続することを決心されました。

 

この「花が人の気持ちを癒す。」という言葉は現在にも引き継がれており、リーマンショックや東日本大震災で経済が止まった際の、現代表・尚右氏の心の支えにもなったようです。

3. 130年間引き継がれた3つの経営理念

ゴトウ花店の経営理念は、創業者・午之助氏が立てられました。

午之助氏が作られた理念を守ってきたからこそ、130年間経営し続けてこられたと、現代表・尚右氏は考えておられます。

 

1つ目は、「最高級のお花を提供する」こと。

最高級の花を揃えるためには、費用も高くなりますが、ゴトウ花店では、仕入れ費用に関係なく、最高級の花を揃えることにこだわっておられます。

お客様に不満を言われようが、経済が悪化しようが、必ず最高級の花を揃え、また、少しでも古くなった花は廃棄し、お客様に届く花が、いつでも最高級のものとなるよう、130年間経営を続けてこられました。

とは言え、廃棄する花のほとんどが、少しだけ古い良好な花であるため、最近では、病院等に無償提供をするという活動にも取り組まれています。

 

2つ目は、「多店舗展開しない」こと。

ゴトウ花店では、多くの店舗を展開しない、社員数を増やしすぎない、店舗を出すエリアを限定することを徹底しています。

これは、適正サイズを守ることが会社をコントロールするために重要という考えをもとに、理念の一つとして設定されています。

 

3つ目は、「洋花店である」こと。

仕入れているものはもちろん、店舗でかけるBGMや、ラッピング等細々とした部分に至るまで、「洋花」であることを徹底しておられます。

第2部:質疑応答・総括(総括・学びのポイントを整理)

質疑応答では、「花の栽培や開発は行っているのか」について質問があり、「小売業に専念しているため、栽培や開発は行っていない。行っているのは、花の産地に行き苗元の方に要望を伝える程度である。」と尚右氏よりご回答いただきました。

質問者の方が「新種開発を行うと面白いのでは」という考えに、「そういうことができたら面白い」とご回答いただきました。

 

また、後藤代表理事より「経営理念の2つ目である多店舗展開をしないことが大事で、限られた範囲でビジネスの質を高めることが大事である。また、「空間の演出」を考えた時には日本には可能性がある。」という考えに対して、「業界全体で取り組んでいる「生活に花を」ということがいまだに実現できていないのが残念である。「空間の演出」を日本全国でやるのは難しいがリーダーシップを発揮していきたい。これからは、ご葬儀に花の可能性を感じている。結婚式と同じように明るくしていきたい。また、コロナによって少し進歩した家に花を置く習慣を継続したい。」とご回答いただきました。

最後に後藤代表理事より「新しい時代を切り開くリーダーシップを期待したい。」と総括をいただき、今回の研究会は終了いたしました。