活動報告

【第61回100年経営研究会】醤油づくりを軸に調和の輪を広げ、地域活性化を目指す(登壇者:1921年創業/株式会社大前醤油本店)

2023年6月26日

2023年3月16日(木)、第61回100年経営研究会を開催いたしました。

 

今回の研究会では、1921年に創業された株式会社大前醤油本店の代表取締役社長である大前 浩介(おおまえ こうすけ)氏をお迎えし、「事業承継」「現在の取り組み」「地域活性化」などについてお話しいただきました。

 

また、100年経営研究機構からは当機構顧問でSMBC日興証券 特別顧問の杉田定大先生がトークセッションの相手として登壇し、長寿企業の秘訣について学びました。

 

 

登壇者の紹介

今回の登壇者である大前氏の経歴からご紹介いたします。

 

<登壇者プロフィール>
株式会社大前醤油本店 代表取締役社長
大前 浩介(おおまえ こうすけ)氏

 

1977年4月 3人兄妹の長男として生まれる。
26歳の時帰郷し入社、家業を手伝う。
同時に結婚、現在妻と子供三人、両親の7人家族。
2018年4月 株式会社大前醤油本店代表取締役社長に就任。

安芸高田市商工会理事、観光協会理事、消防団甲田方面隊第4分団部長、株式会社甲田21取締役、芸北地区食品衛生協会理事など務める。

2022ミスターオブザイヤージャパンファイナル特別賞受賞。

 

 

第1部:トークセッション(株式会社大前醤油本店 代表取締役社長 大前浩介(おおまえ こうすけ)氏 × 杉田定大 顧問)

今回のトークセッションでは、「事業承継」「現在の取り組み」「地域活性化」などについて大前氏よりお話しいただき、対談を通じて学びました。

 

ポイント
1.大前醤油の歴史と事業承継
2.地元の食材を使用した商品展開で地域に調和の輪を広げる
3.醤油づくりを軸に地域を盛り上げていける存在へ

 

 

1.大前醤油の歴史と事業承継

大前社長で4代目となる大前醤油は、大前社長の曽祖父が1921年に芸北醤油醸造所を創業したのが始まりです。

2代目、かつ祖父でもある茂氏は世界中の人と交信するほど無線が好きで、芸北醤油醸造所とは別で立ち上げていた電気系の会社で、「第1回日本商工殿堂表彰大会」にて総裁賞(当時の総裁 内閣総理大臣は、佐藤栄作氏)を受賞された経歴もあります。

無線通信機材を自身で収集して交信していたことから、戦時中には通信士として陸軍に召集されましたが、戦闘機のエンジントラブルによる胴体着陸や被爆など、戦時中ならではの苦難も経験されました。

 

戦後は、1962年に株式会社大前醤油本店を設立し、1964・1965年には醤油の中で最高品賞にあたる農林大臣賞(現:農林水産大臣賞)を2年連続で受賞されています。

 

1974年には、醤油製造の合理化や品質向上のため、共同で出資して醤油の組合の立ち上げと、中国醤油醸造協業工場を建設して、他の企業と協力しながら醤油の原材料の仕入れから仕込みを行うなど、業界全体の発展にも寄与。

この施設は現在も利用しており、できたものを会社に持ち帰り加工、ブランド化しています。

 

大前社長はもともと家業を継ぐ気がなかったため、大学卒業後は上京されましたが、毎日大前社長の祖父の茂氏から「店を継いでほしい」という電話があり、奥様の後押しもあって、大前社長は26歳の時に帰郷し、家業のお手伝いを始めました。

その後は、2018年に父から代表を引き継ぎ、大前醤油の4代目社長に就任されています。

 

 

2.地元の食材を使用した商品展開で地域に調和の輪を広げる

大前醤油は「調和の輪を広げよう」を理念に掲げて、日々取り組まれています。

これは調味料とかけており、調味料も様々な要素から成り立ちブレンドしているため調和が大切であるという意味を表しており、自社の発展だけでなく地域とも調和しながら、さらに100年を目指しています。

 

そのため、大前醤油では醤油の製造だけでなく、地元農家が作ったトマトでぽん酢やドレッシングを製造するなど、地元の食材を使ったオンリーワンの製品も展開

多種多様な商品を展開しつつも、製品のラベルや瓶の大きさを統一することで、大前醤油としてのブランディングも徹底しており、直営店だけでなく、ECサイトやサービスエリア、道の駅でも販売することで認知拡大へと繋げています。

近年は、焼き肉のたれなどの他社製品のOEMや、醤油粕を使ったかりんとう、醤油を使ったロールケーキなどのスイーツも販売されており、販路拡大を目指して新商品の開発にも積極的に取り組まれています。

 

 

3.醤油づくりを軸に地域を盛り上げていける存在へ

大前社長は地域の活性化にも携わり、地域を発展させる先駆者になりたいという思いを持っています。

個人としては、地域を盛り上げるために地域に住む一人一人が輝き、地域に還元できる力になるという趣旨の「2022ミスターオブザイヤージャパンファイナル」に出場し、特別賞を受賞。

会社としては、地元の食材を使った商品開発だけでなく、下記のような取り組みもされています。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響で中断していた、地元の小学生などに対しての工場見学のを再開し、地元の地域企業を学ぶ場の提供
  • 音楽イベントの開催
  • 廃校を活用した事業

その他、トマトで地域を元気にしたいという思いから、スペインで行われている「トマト祭り」の開催も検討されています。

このように、すでに醤油づくり以外の面でも地域活性化のために尽力されており、今後も地域を盛り上げていく存在として地域のプラットフォームづくりに貢献していきたい、とお話いただきました。

 

 

第2部:質疑応答・総括(総括・学びのポイントを整理)

最後に杉田先生より「地域を盛り上げている新しい事業の取り組みに感動した。音楽や『ミスターオブザイヤージャパンファイナル』の話のように、大前社長のように地域を盛り上げていく存在は非常に大事。我々100年経営研究会の方でも色々と応援していきたい。」と総括をいただき、今回の研究会は終了いたしました。

 

次回は3月28日(火)に、株式会社日吉屋の5代目である西堀 耕太郎(にしぼり こうたろう)氏にご登壇いただきます。