活動報告

第25回研究会 「100年企業に見る、コロナウイルスに関する対策と状況」

2020年6月21日

2020年6月5日(金)、第25回研究会『100年企業に見る、コロナウイルスに関する対策と状況』を開催しました。今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い初の試みとなるオンラインにて実施し、会員や関係者など全国より30名の方々にご参加いただきました。

新型コロナウイルスの状況下における状況について、全国の100年企業を対象に研究したアンケート調査を行い、その結果をもとに、「100年企業に見る、コロナウイルスに関する対策と状況」と題し後藤代表理事が講演を行いました。

『100年企業の9割は、コロナショックを社会経済の変化の兆しと捉える』
当機構では、緊急事態宣言が発令されて間もなく、日頃からお世話になっている100年企業の皆さまにお見舞いのご連絡をさせていただきました。多くの方々からご返信をいただく中で、多大な影響を受けながらも即座に状況の変化に適応すべく対策を取り、さらには事業の方針を転換させるような意思決定をされている企業が多いことがわかりました。そこで危機突破の一助として全国の長寿企業を対象として、どのような状況に置かれているのかを調べるアンケート調査の実施を決断したと、講義の冒頭で後藤代表理事より説明がありました。

今回アンケートに回答いただいた95社回答のうち、都道府県別に見ると東京都、京都府、三重県の企業が60%以上を占め、創業年別に見ると、創業200年以上の企業からの回答が約35%という結果でした。

今回のアンケートにより、「100年企業の9割は、コロナショックを社会経済の変化の兆しと捉えている」「6割近くの企業は1年以上資金繰りに余裕を持たせることができている」「80%の企業は販売方法の変更を試み、さらに30%の企業は新たな事業の立ち上げを行い、危機を脱するために果敢に挑戦している」ことなどがあきらかになったと、データを用いながら説明がありました。

その後、各社別に見る対応の特徴についての解説がありました。長寿企業は、これまでに幾度となく天災や社会構造の変化などに直面しながらも、危機を乗り越えてきました。そのため、まずは足元を固めるべく2月の段階で数億円単位の融資を受けた企業や、10年に一度は今回のようなピンチが訪れるから皆で協力しようと経営陣が社員に呼びかけ一致団結している企業の事例などを説明いたしました。その他にも、自社の経営だけでなく、ステークホルダーや業界の衰退を憂い、地域や業界毎に連携し対策を行う企業があることについても解説がありました。
このような事例を、海外ではリスクマネジメントの見本であり、またポスト対応の手本であると捉えていると説明し、今回の出来事で世の中は利己主義から利他主義へ転換が加速していることも強調しました。

実際に100年企業はどのよう対応をしたのか、研究会にご参加いただいた船橋屋佐藤さん、ちんや住吉社長、吉村酒造吉村会長からもそれぞれコメントをいただきました。

その後、当機構顧問の静岡県立大学教授の落合康裕先生より、「機構による今後の調査の必要性と今後の調査の方向性」についてお話いただきました。

まず、今回の調査に関して「急激に環境が変化したとき、100年企業が対応する際の特徴を理解する手がかりが得られた。また、調査に際して各専門家や企業とのネットワークを強固にすることができた。」と話した上で、「今後、機構のネットワークを活用して大規模な調査も可能であり、環境変化のタイミングである今、100年経営を志す企業に対しても重要な情報の提供につながるため、貴重な研究活動である。」との説明がありました。

加えて今回の調査により、100年企業の環境の変化に対する柔軟性や資金繰り力が優れていると浮き彫りになったと説明した上で、今後の調査の方針についても提案がありました。

今回のアンケートは、100年企業のコロナに対する初動の対応に着目した内容となっていましたが、コロナなどの危機が発生する前に100年企業はどのような準備を行っているのか。また、社会構造の変化に合わせてどのように適応をしていくのか、今後様々な視点での研究を行うことで、今回の調査もさらに深まるのではないかとコメントがありました。

最後に、今後の機構の活動予定や現状のプロジェクトの進捗について、藤村事務局長より説明がありました。特に、データベースプロジェクトについて、最新の100年超企業の実数についてお披露目できる日も近くなってきていることを進捗状況とともに説明したのち、閉会の挨拶を行い第25回研究会は終了いたしました。

今後の研究会は、コロナの状況をみて開催方法は決定する予定です。次回は8月7日(金)16:00〜18:00を予定しております。概要が決まり次第お知らせいたしますのでお待ちください。